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相続紛争解決ブログ 終活弁護士の事件簿

FILE : 2016.03.28|

自筆証書遺言の遺言執行者選任の申立てについて

自筆証書遺言は、検認を申し立てると執行ができるようになります。

故人が遺言で遺言執行者を指名してくれていればよいのですが、指名がない場合、遺言執行者の選任を申し立てる必要がある場合があります。

この遺言執行者選任の申立ても、家庭裁判所に対して行います。

紛争性がある遺言の場合、親族が遺言執行者になると紛争の当事者になってしまう可能性があります。
そのような場合、弁護士などの第三者を選任するように申し立てることもできます。

法律事務所アルシエンでは、遺言執行者選任申立てもお請けしておりますので、お気軽にお問い合わせください。

FILE : 2016.03.21|

遺言は勝手に開封しちゃダメ? ~検認について②

では、検認手続はどのように行うのでしょうか。

検認手続は、故人の最後の住所地を管轄する裁判所に申し立てることになります。

検認手続を申し立てるには、結構時間がかかります。
検認を申立てるには、遺言者の出生から死亡までの戸籍謄本と相続人全員の戸籍謄本を添付する必要があります。

戦前の戸籍を読み解くのは大変難しく、普通の人ではとても時間がかかります。故人が高齢の場合、専門家であっても全ての戸籍を取得するのに1ヶ月以上くらいかかってしまうこともあります。

また、裁判所に検認を申立てるとすぐに手続が進むわけではなく、検認を申立てて実際に検認ができるまでには1~2ヶ月かかります。

このように検認手続を実際に行うには時間がかかってしまうのです。

また、検認を申立てるとすべての相続人に対して検認をする旨の連絡が行きます。
実際に相続人が立ち会うかどうかは自由ですが、立会いを希望した相続人は立ち会えますし、申立てた遺族がそれを拒否することはできません。
 前妻との間の子や婚外子など余り会いたくない相手と直接会うことになるかもしれません。
誰か1人の相続分を多くするような遺言の場合でも、他の相続人が立ち会うことになります。
裁判所によっては、検認前に同じ待合室を使うように言われる場合もあり、気まずい空気が流れることもあります。
※私が検認に同席する場合には、別々の部屋で待てるように配慮してもらっています。

手続自体は簡単ですので、ご自身で申立てをしても良いかと思いますが、

・戸籍を集めるのが面倒であったり難しかったりする方
・他の相続人と同席をしたくない方

については、弁護士に依頼をしてもよいかと思います。
もちろん法律事務所アルシエンでは検認申立てのみのご依頼もお請けしていますので、お気軽にお問い合わせください。

FILE : 2016.03.14|

遺言は勝手に開封しちゃダメ? ~検認について①

親が亡くなり、引き出しから表に「遺言」と書いてある封筒が出てきました。
封筒には封緘がされています。

すぐに封を開けて、中を見てみたいですよね。
それが通常だと思います。

しかし、封を開けて見てはいけません。
勝手に封を開けると5万円以下の過料に処せられます。

なぜかというと民法に、封をされた遺言は、家庭裁判所で開けないといけないという条文があるからです(民法1005条)。

この裁判所で遺言を確認する手続を検認といいます。
検認は、遺言の有効性ではなく、遺言の形状や内容を確認する手続です。
検認をしていない自筆証書遺言は、原則として執行をすることができません。
銀行手続や登記の際には、検認していることを示す文書がないと執行をさせてもらえないからです。

ですので、自筆証書遺言を発見した人は、まず家庭裁判所に検認を申し立てるという作業から始める必要があるのです。

FILE : 2016.03.07|

遺留分について③ 遺留分についての補足説明

前2回で説明をした遺留分は、相続分野の中でも扱いが難しい分野の一つです。

1.字が難しい
そもそも読み方も難しく「いりゅうぶん げんさい」と読みます。
普段使わない字ですので、「滅殺」と誤入力されたり、「げんさつ」「めっさつ」と誤読されたりとよく間違われます。
ライターさんに頼むとよく間違われるので、誤入力チェックが不可欠なワードの一つです。

2.期間制限が厳しい
遺留分の行使には1年間という厳しい期間制限があります。
内容証明郵便で行使してもよいので、その点は訴訟提起などと比べてハードルは低いのですが、内容証明ならではの難しさがあります。
訴訟であれば裁判所に行けば受理してくれますが、内容証明郵便の場合、相手方が受け取らないということがあるからです。
内容証明郵便の受け取りを拒否されたために、慌てて相手方の自宅に郵便を持って行き、本人に手渡したということもあります。
※受取拒否をされた場合にどう扱うかという点は、裁判例があります。

3.効果が難しい
遺留分減殺請求権は法律上「形成権」にあたるとされています。
遺留分を主張するだけで法律効果が発生して、一度相続した権利が当然に遺留分権者の権利になってしまうのです。これの何が難しいかというと、訴訟提起する時の訴状の書き方が難しいだけですので、余り皆様には関係がないことかもしれません。

4.遺留分を侵害する遺言を書きたい方がたくさんいる
例えばですが、親が離婚しており長いこと会っていない場合や前妻との子がいるが離婚してから1度も会わせてもらえていないような場合でも、親や子には遺留分が認められます。
そのため、遺留分を侵害する遺言を書きたい方はたくさんいるのです。
どのようにその想いに応えるかというのは、遺言相談を受ける弁護士の腕の見せ所となります。

5.事前の放棄ができる
別の機会があれば説明しますが、相続権は事前に放棄しておくことはできません。
しかし、遺留分は事前に放棄しておくことができるのです。
余り使われない制度ですが、私も数は少ないですが遺留分放棄を申し立てたことはあります。

ということで、遺留分に関する補足説明でした。

FILE : 2016.02.29|

私は1円ももらえないの? ~遺留分について②

前回に続き、今回は最低限相続できる権利である遺留分について説明をしていきます。
※厳密に言うと、遺留分と相続権は異なりますが、簡単に説明するためにあえてデフォルメしています。

まず、遺留分が認められるのは、夫や妻などの配偶者(内縁関係は含みません。)、子、親です。
兄弟姉妹や甥っ子姪っ子には、遺留分は認められません。

次に、遺留分の範囲ですが、原則は、前回お話をしたように自己の相続分の2分の1になります。ただし、相続人が父親や祖父母だけの場合には、法定相続分の3分の1になります。

遺留分で一番重要なのは、行使の期間制限です。
遺留分は、自分の遺留分が侵害されていると知った時から1年以内に遺留分があると主張をしないと、もう行使ができなくなってしまいます。
また、相続が発生したときから10年経った場合も行使ができなくなってしまいます。
このように、通常は、自分の最低限相続する権利を下回っている遺言があることを知ったら、1年以内に遺留分があると主張することになります。

では、遺留分はどのようにして主張するのでしょうか。

まずは、他の相続人に対して、内容証明郵便などで自分には遺留分がある旨の主張をしていくことになります。これを1年内に行っていれば、行使の期間制限をクリアできます。
遺留分の行使は、いつしたかが後々問題になることになることがあるので、内容証明郵便で行うことが通常です。
※ここも厳密にいうと遺留分減殺という請求になるのですが、分かりやすくデフォルメして表現しています。

その後は他の相続人と遺留分をどのように調整するか話合いをすることが通常です。
話合いで解決しない場合は、家庭裁判所に対して調停の申立てをし、調停の場で再度話合いをします。

それでも解決しない場合には、訴訟を提起して裁判所に判断をしてもらうことになります。

法律事務所アルシエンでは、遺留分減殺請求も扱っております。
自分の相続分がない、とても少ないという遺言が発見された場合は、遺留分行使には時間制限がありますので、早めにご相談ください。

FILE : 2016.02.22|

私は1円ももらえないの? ~遺留分について①

相談者の方から、
「親の遺言が出てきたのですが、私は1円ももらえないのでしょうか」と相談を受けることがあります。

親が亡くなった後に「長男に全ての遺産を相続させる。」という遺言が出てきたのです。
では、そのような場合、次男である相談者は1円も相続することができないのでしょうか。

答えは、ある程度の相続はできます。

というのも、法律上、配偶者や子、親には最低限相続する権利が認められています。
これを「遺留分」と言います。
※厳密に言うと、遺留分と相続権は異なりますが、簡単に説明するためにデフォルメしています。

ですので、「長男に全ての遺産を相続させる。」という遺言があっても、次男が遺留分を主張すれば、ある程度の財産は取得することができます。

では、どの程度の財産を取得することができるのでしょうか。

通常は、自分の相続分の2分の1が最低限相続できる権利となります。

例えば、親が亡くなり兄弟2人だけが相続人だった場合、次男の相続分は2分の1ですので、最低限相続できる権利はその半分の4分の1になります。
この場合、次男は、4分の1は相続することができると主張していくことになります。

では、どのようにして、この最低限相続する権利を主張していけばよいのでしょうか。
次回は、遺留分についてもう少し詳しくお話をしていきます。

FILE : 2016.02.15|

相続人の一人が遺産を管理していて遺産目録を開示してくれない③

前回、前々回と遺産の探し方についてお話をしてきました。

ただ、実際にすべての遺産を把握するということは極めて困難です。
金融機関に聞くと言ったって、金融機関の数はたくさんあります。それに証券会社に保有している口座にまで照会をかけるとなると、それこそ何社あるのか数えるのも大変なくらいです。

どこまで調査をするかは、手間と費用と本人の納得感との兼ね合いになります。

亡くなった方に相続税の申告が必要なほどの財産があれば、税務署が調査に来てくれて、それによって隠していた遺産を知ることはできるかもしれません。
相続税の申告がいらない程度の遺産額の場合が一番揉めやすいゾーンですし、そのような場合が一番相続財産を調べるのが困難なのです。

この遺産を探すという作業は、自分でやらなくても委任状を渡せば他の人に依頼することもできます。自分で探すよりもノウハウを持っている専門家に相談をした方が、楽だし財産が見つかる可能性も高まるかと思います。

世間的には、遺産を探すというサービスは、弁護士の他にも、司法書士、行政書士、税理士といったサムライ業の方や相続手続代行会社なる業者もサービスを提供しているようです。

弁護士である私としては、常日頃、弁護士以外の方に相続財産の調査を依頼するのはもったいないなと思っています。

弁護士以外の方たちは財産調査費用をもらって相続財産の調査はしてくれますが、もし、その後の遺産分割協議で揉めたとして、交渉や協議には参加してくれません。弁護士以外は遺産分割協議交渉はできないと法律で決まっているのです。

もとより遺産を隠して教えてくれないような相続人です。
そのような相手との遺産分割協議が穏やかにまとまるはずがありません。
結局、行政書士などに相続財産調査を依頼しても、遺産分割協議がまとまらなければ弁護士に依頼することになります。そうなれば、当然、二重に費用がかかることになります。

最初から弁護士に依頼をすれば、相続財産調査も込みで遺産分割協議の代理まで請けることになります。
そうであれば、最初から弁護士に相続財産調査を依頼した方が結局は安上がりなのにもったいなと思ってしまうのです。

法律事務所アルシエンでは遺産分割紛争を多く取り扱っています。
相続人の一人が遺産を管理していて遺産目録を開示してくれない場合、是非、私たちにご相談してみてください。

FILE : 2016.02.08|

相続人の一人が遺産を管理していて遺産目録を開示してくれない②

前回は、相続人の一人が遺産を管理していて遺産目録を開示してくれない場合の預金の調査についてお話しました。

今回は、預金以外の財産の調査方法をお話します。

不動産を持っているかもしれないという方もいます。
不動産については、市区町村に対して、名寄帳というものを請求するとよいです。
名寄帳にはその市区町村に所有している不動産が載っています。
※固定資産税評価0円の不動産(通路として使用してる土地など)は名寄帳に載っていないこともあります。

上場株式については、信託銀行や保管振替機構などに照会をすれば判明することもあります。

ある程度遺産の中身が判明して来たら、次は相手に対して質問をしていくことになります。
普通に質問をしても回答が望めない場合、弁護士に依頼して、遺産分割調停を申し立て、遺産分割調停において質問をしていくということもあります。
調停委員も事案解決のために、相手に対して回答をするように促してくれます。それによって遺産が判明することも多いです。

ただ、実際に全ての遺産が判明しないことが多いのもれっきとした事実です。

次回は、遺産が判明しない場合についてどのようにすればよいのかお話いたします。

FILE : 2016.02.01|

相続人の一人が遺産を管理していて遺産目録を開示してくれない①

長男が親の財産を管理していたが、親が亡くなっても遺産の目録を教えてくれない。
教えてと催促しても、そんなにないからと言って取り合ってくれない。

そのような相談を受けることも多いです。

そのような場合、遺産が本当にないこともありますし、実は遺産があって長男が使い込んでいるというケースもあります。

では、相続人の一人が遺産を管理していて財産目録を開示してくれない場合、どのように対処すればよいのでしょうか。

全く取っかかりがない場合、預金の照会から始めるようにしています。
預金については、金融機関に行き、預金者が死亡したことがわかる戸籍謄本・除籍謄本などと自分が相続人であることを示す戸籍謄本を持参したうえで、預金があったか尋ねると、預金の有無を教えてくれます。
たいていの方は、預金口座を、住んでいる場所の近くかかつて住んでいた場所の近く、職場の近くの金融機関に作ります。
ですので、まずは、住んでいる場所の近くの金融機関(銀行、ゆうちょ銀行、信用金庫、信用組合、JAバンク)などを回ってみるとよいでしょう。その際、その支店だけでなく他の支店にも口座があればということを聞くとよいです。

預金口座があることが分かれば、次は取引履歴の取り寄せです。過去3年分くらいの取引履歴を取り寄せれば、ある程度の情報はわかるかと思います。

その口座に年金の振込みがなければ他にも預金口座はあるはずです。また、自分名義の送金があれば他にも預金口座があることがうかがい知れます。
また、「ハイトウ」などの記載があれば、株や投資信託があることがうかがわれます。
個人名で毎月定額の入金があれば、家賃かもしれません。
取引履歴を見るだけでも、多くの情報を入手することができるのです。

次回は、預金以外の財産の調査方法をお話します。

FILE : 2016.01.25|

親の死亡後、相続人の1人が財産を使い込んでいたことが発覚した場合の対処法②

前回は、相続人の1人が亡くなった親の預金を引き出しているのを止める方法をお話しました。

では、相続人の一人が勝手に引き出してしまった財産については、遺産分割においてどのように扱われるのでしょうか。

多くのケースでは、遺産分割協議の中で、引き出してしまった預金をどのように扱うか話し合いをすることになります。
ただ、当事者同士では揉めてしまった話合いにならないこともあります。そのような場合、弁護士が代理して協議をしたり、調停を申し立てたりします。

弁護士が入った後は、死亡後に引き出した預金について、預金の取引明細を取り寄せるなどして金額を調べ、相手方に対して、引き出した預金をどのように使ったか質問を出します。その質問に回答してもらえた場合、資金使途を確認に、相続人全員の利益のために使われている分はそのまま認め、個人的に使っていた分は現金が残っていると仮定して遺産分割を進めていくということが多いです。

ただ、誤解されては困るのですが、死亡後の預金引き出しについて遺産分割調停の中で必ず解決できる問題ではありません。
というのも、死亡後に引き出された預金については、遺産分割の対象ではないからです。

裁判所で行う遺産分割の対象は、死亡時に存在し、かつ分割時にも存在する遺産のみです。
死亡後に引き出された預金は、確かに死亡時には遺産でした。しかし、分割する時点では既に引き出されていて存在しないので、遺産分割の対象にはならないのです。

東京家庭裁判所では、死亡に引き出された預金については、3回くらいは協議してみようというルールになっています。逆にいうと、3回程度で引き出した預金の扱いについて話合いがまとまらないのであれば、遺産分割調停ではなく、他で解決してくださいということなのです。

他で解決というのは、普通の訴訟で解決するということになります。もし、預金引き出し分について返還して欲しいのであれば、相続人の一人が使い込んだ預金について、本来は自分の相続がするはずの預金なので返還して欲しいという訴訟を提起しなければならないのです。
訴訟提起をするのは、当然返してほしい側です。また、引き出した預金を個人的に使ったということは、最終的には返して欲しい側で立証する責任を負います。

死亡後に引き出した現金は葬儀費用などにも充てられていることが多いです。葬儀ではお布施や心づけなど領収書がでないお金も多く、個人的に使ったということを立証することはなかなか難しいのが実情です。

身もふたもない話ですが、一番の対策は相続人の一人が預金を使い込まないようにしておくことなのです。
親の財産を相続人の一人が管理しているのであれば、生前から管理状況をきちんと聞いておくこと。
それができないのであれば、親が亡くなったら早い時期に遺産目録を出してもらう。
そして、遺産目録をなかなか出してくれないのであれば、自分で早めに動くこと。金融機関に対して連絡するなど、なるべく早く預金の凍結をしてしまうのです。

もちろん、もめそうな時には、依頼するかはさておき、早めに弁護士に相談して対応を聞いておくということが一番のおすすめです。

法律事務所アルシエンでは遺産分割紛争を多く取り扱っています。
親の死亡後に相続人の1人が財産を使い込んでしまっている場合、是非、私たちにご相談してみてください。

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