遺留分について③ 遺留分についての補足説明
- 2016.03.07|相続
前2回で説明をした遺留分は、相続分野の中でも扱いが難しい分野の一つです。
1.字が難しい
そもそも読み方も難しく「いりゅうぶん げんさい」と読みます。
普段使わない字ですので、「滅殺」と誤入力されたり、「げんさつ」「めっさつ」と誤読されたりとよく間違われます。
ライターさんに頼むとよく間違われるので、誤入力チェックが不可欠なワードの一つです。
2.期間制限が厳しい
遺留分の行使には1年間という厳しい期間制限があります。
内容証明郵便で行使してもよいので、その点は訴訟提起などと比べてハードルは低いのですが、内容証明ならではの難しさがあります。
訴訟であれば裁判所に行けば受理してくれますが、内容証明郵便の場合、相手方が受け取らないということがあるからです。
内容証明郵便の受け取りを拒否されたために、慌てて相手方の自宅に郵便を持って行き、本人に手渡したということもあります。
※受取拒否をされた場合にどう扱うかという点は、裁判例があります。
3.効果が難しい
遺留分減殺請求権は法律上「形成権」にあたるとされています。
遺留分を主張するだけで法律効果が発生して、一度相続した権利が当然に遺留分権者の権利になってしまうのです。これの何が難しいかというと、訴訟提起する時の訴状の書き方が難しいだけですので、余り皆様には関係がないことかもしれません。
4.遺留分を侵害する遺言を書きたい方がたくさんいる
例えばですが、親が離婚しており長いこと会っていない場合や前妻との子がいるが離婚してから1度も会わせてもらえていないような場合でも、親や子には遺留分が認められます。
そのため、遺留分を侵害する遺言を書きたい方はたくさんいるのです。
どのようにその想いに応えるかというのは、遺言相談を受ける弁護士の腕の見せ所となります。
5.事前の放棄ができる
別の機会があれば説明しますが、相続権は事前に放棄しておくことはできません。
しかし、遺留分は事前に放棄しておくことができるのです。
余り使われない制度ですが、私も数は少ないですが遺留分放棄を申し立てたことはあります。
ということで、遺留分に関する補足説明でした。