遺言執行の面倒くささ
- 2012.02.29|遺言
こんにちは。弁護士の武内優宏です。
今回は遺言執行について。
遺言執行者として銀行に行き、預金解約手続きをすることがあります。
遺言執行者は、遺言執行のために必要な一切の行為をすることができると、民法1012条1項にも書かれています。
一切の行為が出来るのですから、遺言執行者であれば、一人で預金の解約・払戻しが出来るのが通常です。
だけど、銀行や信金などの金融機関に遺言を持って行き、遺言執行者として預金の解約をしようとすると、多くの金融機関で遺言執行者だけの印鑑ではダメで相続人の実印・印鑑証明をもらって下さいと言われます。
相続人の捺印が貰いづらいからわざわざ遺言を作成しているというケースも多いのに、それでは何のため遺言を書いておいたのか分かりません。
当然、そうですかと引くわけにはいかないので条文を見せながら、「私の印鑑だけで解約・払戻しができるはずだ」と言うのですが、大抵支店では判断出来ないと言われ、後日連絡するとなってしまうことが多いです。
もちろん、結局は私の印鑑だけで解約・払戻しができるのですが、2度手間になってしまいます。
これが何行もあったらどうでしょうか。
私は、お仕事として遺言執行を受任しているので問題ないのですが、遺言執行者が普段サラリーマンをしている子どもだったり、遠方に住んでいる親戚だったら、そのために何度も銀行に足を運ばなければいけないなんて非効率ですよね。
遺言を書く人も増えているのだから、金融機関の窓口の人も、もっと遺言執行について勉強をしてもらいたいものです。