遺言
遺言・遺言書とは?
最近、テレビや雑誌などで遺言特集が組まれることが多くあります。
相続紛争防止のためには遺言を書いた方が良いとよく書かれていますが、そもそも「遺言」と言うものが何なのかが分からない方も多いことでしょう。
そのような原因は、「遺言」が、一般的に「遺書」と混用されているからだと思います。
「遺言」という言葉を辞書で引きますと確かに二つの意味が載っています。
▼遺言の意味①
「死に際に言葉を残すこと。先人が生前に言ったこと。」という意味
▼遺言の意味②
「人が死亡後に法律上の効力を生じさせる目的で、遺贈、相続分の指定、相続人の廃除、認知などに着き、民法上、一定の方式を従ってする単独の意思表示」という意味 (大辞泉より)
①の意味の「死に際の言葉」を書面に書きとどめたものがいわゆる「遺書」です。これは、まさに死に際に書く文書です。
②は、死後の財産関係・身分関係に関する処分を行なう法的な文書としての「遺言」になります。
最近、雑誌やテレビで相続紛争を防ぐためにを書いておいた方がよいと言われる「遺言」は、②の法律的な意味で「遺言(「いごん」と読むことが多い)」のことです。
つまり、遺言書とは、自分自身が亡くなった後、自分の意思に法律的な効力を生じさせる為に必要なものになります。
遺言書を遺しておくと?遺しておかないと?
遺言書を遺しておくことで、遺産を誰にどのように配分するか事前に定めておくことが出来ます。また、葬儀の内容や遺品整理の方法などについて遺族に依頼をしておくことも出来ます。
つまり、自分の最期を自分自身で決めておき、自分がいなくなった後でもその遺志を法律に則って反映させることが出来るようになります。
遺言執行者を定めておくことで、更に確実に自分の思い描いた遺言執行が行われるようになります。
逆に、遺言書を遺しておかないと、これらの事柄が全て法律に則った形式で配分されるか、もしくは遺族によって決められ、執行されていきます。
そのため、遺産相続や葬儀内容などで親族間での揉め事に発展したり、親族の誰かに大きな負担を残す結果になってしまうこともあります。
「きちんと遺言書を遺したい」~遺言書作成のご相談~
遺言書は相続紛争を防ぎ、ご家族にあなたの意思を伝えることはもちろん、円満に遺産を受け取っていただくための大切なメッセージです。その大切なメッセージを、法律に則って正しく、正確に執行できるよう、サポートいたします。
紛争の事前防止
長男と同居している。
子どもの一人と同居をしているという家族は、相続で揉めやすい典型的なケースです。 同居をしていた子どもは、同居をしていた分、相続において優遇されるべきと考えていることも多いです。しかし、実際には、相続人間で合意がない場合、相続人の一人が同居をしていたからと言って、当然に相続で優遇されるわけではありません。
相続人間で感情的な対立が生じてしまい、相続紛争に発展していくという例をいくつも見ています。
同居をしていた相続人を優遇するのかどうか、故人がしっかりと意思を遺しておいてくれれば、そのような紛争を避けることができます。
長男と同居している場合、遺言を書くことをお勧めしています。
遺産のほとんどが不動産だ。
遺産のほとんどが不動産だというケースも、相続で揉めやすい典型的なケースです。
不動産は、預金と違い分けづらいですし、急いで売却をしようとすると思ったような値段で売れないことも多いです。また、不動産が欲しい相続人と不動産ではなく代償金が欲しい相続人との間で、不動産の評価を巡って争いになることもしばしばです。
遺産のほとんどが不動産という場合、悲惨な相続紛争を防止するためにも遺言を書くことをお勧めしています。
再婚しているが、離婚した配偶者との間にも子がいる。
女性が再婚をして、前夫との間にも現在の夫との間にも子がいる場合も要注意です。
離婚をしていても子どもには相続権があります。そうすると、現在の夫が亡くなったことにより自宅を相続した後で妻が亡くなった場合、現在の夫から相続した自宅が離婚した前の夫との間の子も相続分を主張できてしまいます。
言だけでは解決しない問題ですので、しっかりとした相続対策が必要になります。
弁護士がサポートするメリット
●専門家がサポートするメリット
せっかく遺言を書いてあったのに、結果として紛争になってしまうケースも多くあります。
その多くは、専門家に相談をしないで作成をした自筆証書遺言が原因です。最近は、遺言作成キットなどもあり、自分で簡単に遺言を作成することはできますが、かえって紛争を招いてしまうケースが多いのもまた事実です。
紛争を防ぐためには、専門家に相談することが重要です。
●弁護士でないと出来ないサポート
遺言作成の相談は、弁護士だけでなく行政書士や司法書士も行なっています。しかし、紛争を防止するという観点からは、弁護士に相談をするのが一番です。相続紛争の解決は弁護士しかできません。どのような遺言が揉めやすいか、どのような遺言を書いておけば揉めないか、もし紛争になった場合でもどうすれば特定の相続人に有利にできるかについて、経験に基づいた知識があるのは弁護士だけです。
遺産分割協議の交渉や調停申立ての代理ができるのも弁護士だけです。行政書士や司法書士が遺産分割協議の交渉まで行うケースもあるようですが、違法行為です。
●アルシエンに依頼するサポート
アルシエンでは、多くの遺言・相続相談を受けています。弁護士だけでは解決できない問題のために、税理士や司法書士などの専門家、葬儀社や遺品整理業者などの業者とも連携して、高齢者の悩みを総合的に解決できる体制を整えています。
終活のパイオニアである終活カウンセラー協会の監修・講師もつとめており、「終活」、特におひとり様の終活については多くの案件を扱っています。
遺言の種類について
遺言には大きく分けて自筆証書遺言と公正証書遺言とがあります。
▼自筆証書遺言
自筆証書遺言とは、遺言書の内容・日付・氏名が全て自筆で書かれ、押印をする遺言のことです。
印鑑は実印である必要はありませんが、パソコンなどを使って作成した場合は、全て無効となります。
自筆証書遺言は、紙とペンと印鑑があればすぐにでも書くことが出来ますし、特に費用もかからないので、気軽に作成することができます。
しかし、簡単に作れる反面、要件を欠いて無効になることもありますし、遺言の内容に不備があって却って紛争を招いてしまうケースもあります。
また、遺言を発見した場合には、検認と言って、裁判所で遺言の内容や形状を確認する手続をしないといけないという手間があります。
▼公正証書遺言
公正証書遺言とは、公証証書(公証人が作成する書面)で作成をする遺言のことです。
公正証書は、専門家が作成に関与するので、無効になったり内容に不備があって後で問題になると言ったケースは少ないです。
また、検認手続も不要ですし、紛失のおそれもありません。
他方、公証人役場とのやり取りが必要になりますし、戸籍などの書類も必要になります。
(公証人とのやり取りを含めて弁護士に頼むこともできます。)
また、公証人に支払う費用もかかってきてしまいます。
作成費用は遺産の金額や相続人の人数により異なります。
●費用について、詳しくは、公証人役場のホームページをご覧になって下さい。
http://www.koshonin.gr.jp/index2.html
遺言執行・遺言執行者について
遺言執行とは、遺言書で定めた内容を執り行うこと(手続)を指します。
また、遺言執行を行う者を「遺言執行者」と呼び、一般的には相続人(親族)の中から誰かを定めておきます。
しかし、相続人が多い場合に相続人の中から遺言執行者が選ばれると、他の相続人との利害関係が発生したり、専門的な知識が必要な問題(法律や税金など)が発生した時に対処できなくなってしまい、遺言執行が確実に執り行われないケースが出てきます。
そのため、遺言執行者に弁護士などの専門家を第三者として立てておき、その者に遺言執行を委ねることによって、より確実な遺言執行を執り行うことが出来るようになります。