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遺言の相続内容に納得ができない

事例概要

父親の黒川太志さんが亡くなり、相続人は長女の緑さん、長男の太一郎さん、次女の茜さんの3人です。
太志さんは遺言を残していました。その内容は、
1.太一郎さんと同居していた自宅建物は太一郎さんに相続させるが、土地は緑さん、茜さんに相続させる。
2.貸しアパートの建物は緑さんに相続させるが、その敷地は太一郎さんと茜さんに相続させる。
というものでした。
この遺言に驚いたのは茜さん。
茜さんは、土地を共有で相続するものの、それでは自宅にも住めませんし、貸しアパートの賃料も入ってきません。納得がいかずに弁護士のところに相談に来ました。

遺言の相続内容に納得ができない

解決までの流れ

遺言は、相続人や受贈者(遺言で財産を遺贈された人)全員の合意があれば、それと異なる遺産分割をすることが認められています。

今回のケースは明らかに茜さんに不利な内容でしたし、太一郎さんや緑さんにとっても、不動産が共有状態という不安定な所有となる遺言でした。
そこで、全ての相続人で協議をして、茜さんは不動産を相続せずに金銭をもらうという形で遺産分割をすることになりました。

本件のポイント

共有は共憂

共有とする内容の遺言や遺産分割は、基本的にはオススメをしません。
「共有は共憂」とも言うくらい、憂いをともにするだけです。
今回のケースでいうと、太一郎さんは建物を自由に使えますが、土地を第三者に売られてしまう可能性があります。そのような場合、太一郎さんがこれまでと同じように建物を使用できるかは分かりません。
また、茜さんが自宅土地やアパート敷地を売ろうとしても、共有持分だけでは正当な値段では売れず、もし買ってくれる人がいたとしてもずいぶんと値段は下がってしまいます。
共有持分や土地と建物の所有者が異なるという状態はとても面倒な存在なのです。
そのため、共有となってしまうような遺言の場合、全相続人の合意によって遺産分割をやり直すということもあります。

※上記事例は、受任した事案をもとに再構成をし、個人のお名前や詳細等にフィクションを含みます。
弊事務所では、法令に定めのある場合を除き、受任した事案をご本人の承諾なく開示をすることは一切ございません。

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