遺産分割
遺産分割とは
遺産分割協議とは、被相続人の財産を法定相続人の全員で、相続財産を、誰に、どれだけ分けるか話し合うことです。
その際、まず被相続人の遺言があるかないかを確かめましょう。
遺言がある場合には、基本的に遺言に従って、遺産分割をします。
一方、遺言が無い場合には、法定相続人で話し合うことになります。
遺産分割の大まかな流れは、i.相続人の確定をする、ii.遺産の範囲を確定する、iii.遺産の評価をする、iv.どのように分けるかを決める、v.遺産分割協議書を作成する、というものです
法定相続人の全員が合意すればどのような内容の遺産分割でも問題はありません。必ずしも法律で定められた法定相続分に従う必要はありません。とは言っても、全員で合意ができなければ最終的には法定相続分に従いますので、法定相続分を考慮しながら遺産分割をすることも多いです。
相続税は相続開始を知った日から10か月以内に納めなければなりませんが、遺産分割に法定期限があるわけではありません。
遺産の分け方
遺産の範囲、評価が決まれば、あとは誰がどのように相続するか決めるだけです。
この際、ある特定の相続人が被相続人から贈与を受けていたなどの事情がある場合(特別受益)、逆に、ある特定の相続人が被相続人の遺産維持に特別の寄与をしていた場合(寄与分)、取得額の調整をすることもあります。
よく、自分だけ被相続人の介護をしていたのだから寄与分が認められるはずだと主張してくる方がいますが、「特別の寄与」でないと寄与分は認められません。他の相続人が納得をしない場合、裁判所に、「特別な寄与」であると認められるには高いハードルがあります。
特定の相続人に面倒を見てもらっていて、その相続人に多く財産を残したいと思ったら、遺言を書いておくべきです。
実際に財産を分割する方法には、「現物分割」「換価分割」「代償分割」「共有分割」の4つがあります。
●現物分割
現物分割は、個々の遺産をそのままの形で相続させる方法です。
たとえば、配偶者には土地と建物、子どもには預貯金と株式という形で分けたり、広大な土地を2つに分けてしまい、2人でそれぞれ相続するような方法です。
●換価分割
遺産の全部または一部を金銭に換えて(換価)、その金銭を分割する方法です。2つに分けてしまっては建物が建てられなくなってしまう土地(都心の自宅は概ねそうです。)や分割することで著しく遺産の価値が下がってしまうものなどについて、売却し、現金で分割します。
●代償分割
特定の相続人が遺産そのものを取得し、他の相続人に対して相続分に応じた金銭を支払うという形で分割する方法です。たとえば、同居していた親族が自宅を相続し、同居していなかった親族に対して、その相続分に見合った金銭で支払うような場合をいいます。
特定の財産を特定の相続人に承継させたい場合に使われます。
●共有分割
相続分に従って、共有状態を続けるという分割です。「共有は共憂」と言い、結局は問題の先送りに過ぎません。また、共有状態を続けていると、共有者の1人が死亡するとどんどん共有者が増えていき、分割をする際にかえって問題をこじらせます。
遺産の分割協議書の作り方
遺産の分け方が決まれば、それを遺産分割協議書の形にまとめます。
遺産分割協議を成立させるためには、相続人全員の同意が必要です。また、実際に手続きをする際には、印鑑証明と全ての戸籍を添付する必要があります。これだけでも結構な労力です。遺産分割協議書には、かならず実印で捺印をしてもらい、印鑑証明をもらう必要があります。印鑑証明は、金融機関によっては預金解約の際に提出をして返却してくれないこともありますので多めにもらっておいた方がよいでしょう。
遺産分割協議書は、ご自身で作成してもよいですが、内容が明確である必要があるので専門家に相談をするのが無難です。内容が不明確な遺産分割協議書を作ってしまっては、せっかく遺産分割協議が成立しても、預金の解約ができない、登記ができないなどの問題が起きてしまいます。
遺産分割について相続人間での合意ができていないにもかかわらず、司法書士、行政書士、税理士が交渉をすることは、法律上許されません。
遺産分割交渉、遺産分割協議書の作成についても、法律事務所アルシエンにお気軽にご相談ください。
●認知症の方がいる場合
遺産分割協議をするためには判断能力があることが前提となります。
相続人の中に未成年者(その両親も相続人になる)や認知症の方がいた場合、それらの方には判断能力が認められないので、成年後見人や特別代理人を選任してもらう必要が生じます。そのため、遺産分割協議とは別個の裁判手続が必要になってしまい、遺産分割が終わるまでに時間がかかってしまうのです。
相続人に未成年者や認知症の方がいる場合には、遺言があった方が遺産分割はスムーズになります。
成年後見申立てや特別代理人選任申立てについても、法律事務所アルシエンにお気軽にご相談ください。
●遺産分割調停
遺産分割がまとまらない場合、家庭裁判所に対して遺産分割調停を申し立てることになります。
調停は、裁判所において調停委員を通じて遺産分割について、合意形成をするという手続です。
法律事務所アルシエンでは遺産分割調停業務も行っておりますので、お気軽にご相談ください。